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地域防災セミナー「災害に強くなる知恵と技」
災害急性期における避難所とケア
健康管理とトイレ対策

暗室で床にごろ寝の体験  
暗室で床にごろ寝の体験
 暗くした講堂の冷たい床に皆寝そべって、災害時に避難所で夜を過ごす体験をした。床の冷たさ、腰が冷え、腰痛の人には厳しい。暗い中知っている人がいて心強い、つい仲間と話し合い周りに人への配慮が欠けてしまった、など口々に感想を述べていた。
  「足浴」体験
  「足浴」体験

 地域防災セミナー「災害に強くなる知恵と技」の今年度4日目の講座が日本赤十字看護大学武蔵野キャンパスで1月28日(土)行われた。午前の部の冒頭、同大学小原真理子教授による「疑似体験から知る“災害急性期における避難所”」で短時間ではあるが五感で味わった。大災害発生時には避難所には傷病者、要援護者も一緒に避難所に押し寄せる。唯一の基幹病院となった石巻赤十字病院にも、一般避難者の大勢避難してきて、1,2階とも傷病者ともどもあふれかえっていた。
 避難所における高齢者に対し配慮すべきこととして、@一人にさせず、接する機会を多く持つ。A相手のペースに合わせる。B親身になって耳を傾ける。C生活支援の基本は自立支援。できないことを援助する。D必要に応じ、専門家に連絡する、ことを強調していた。
 また避難生活の目標は、@死亡、発病、持病の悪化を減らす。それには、避難者の個別な状況把握、リスト化が必要。Aできるだけ安楽な生活を。居住環境の改善と震災ストレスの軽減が必要。B高齢者に対しては、廃用症候群を減らす。早期に在宅介護サービスの再開へ。C自宅復帰、仮設住宅への移住の早期実現(移住先でのコミュニティの再建が必要)などを挙げた。

 石巻赤十字病院で3・11以降、自らも避難の中、学生と共に同病院で対応に追われた看護師の森岡さんは、津波に濡れて低体温状態となっている傷病者を徹夜でマッサージなどで全員を救ってきた実体験などの状況を講義の内容ごとに、コメントした。
寒さ対策に毛布でガウン  
寒さ対策に毛布でガウン  

 赤十字健康生活支援指導員による「要援護者の避難生活とケア」では、災害時における避難者の体、心への影響として、脱水、インフルエンザ、食中毒、生活不活発病、エコノミー症候群などの発生と予防について講座。心のケアとして、リラクゼーション、足浴、清払、トランスファー、毛布を使ったガウン等の実技・体験を行った。
 
 午後の部では、「避難所で起きやすい病気と予防」に続き、「手洗いとマスク」ではそれぞれの実演と注意事項について解説された。
 NPO法人日本トイレ研究所代表の加藤篤氏が「困った!災害時のトイレ対策」と題し、阪神淡路大震災以来の災害現場での悲惨なトイレ事情、特に東北地区での状況を詳細にわたって紹介、量的には改善されてはいるが、質的には全く改善がされていない、としていた。 知っておいてほしいとして@災害時には、トイレ機能がなくなる。Bトイレには種類がいろいろあり、特徴がある。B利用者にあったものを備える必要が、C建物内・外のトイレの運用方法 D各自治体のトイレ対策を把握しておく。E訓練時に実際に使てみる。F自らの排泄実態を知っておく。一般に一人1日、小水200〜300cc、大便1.2〜1.5s。等を挙げた。
 今後の災害時におけるトイレの質向上とトイレ環境をつくる人材育成のため、「トイレ衛生管理士」制度発足を企画し、5月には講習会を開催予定とのことであった。