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地域防災セミナー「災害に強くなる知恵と技」 第6回講座
避難所における要援護者トリアージ
判断基準の策定と研修が必要に

グループごとに、どう判断するか話合い
グループごとに、どう判断するか話合い 
 日本赤十字看護大学と武蔵野地域防災活動ネットワーク主催の今年度第6回講座が12月15日(土)午後、日本赤十字看護大学武蔵野キャンパスで行われた。 この講座のテーマは、「避難所における要援護者トリアージ」。避難所に助けを求めて集まる種々な要援護者に対し、どう判断し、救護できるか。その判断力をつけよう!と企画された。

 大災害時における傷病者に対するトリアージは基準を設け、医療機関、救急隊等で実施されているが、避難所に避難してくるいろいろな疾患を持つ、中には外見ではどういう疾患を持っているかわからない要援護者に、どう対応するかについては、いまだ基準がない。しかし大災害時には、医療従事者がいない各拠点においては、専門資格のない避難所スタッフが判断せざるを得ない状況となるため、@判断基準を作る、Aトリアージ区分決定の問題点と改善点、B住民の視点を入れた基準を模索する、のが今回のシミュレーション。

 首都直下型地震が発生、避難所に要援護者が避難してくる。避難所におけるトリアージポストで個々人毎に判断し、@病院へ移送する、避難所内のA福祉避難室(思いやりルーム)へ、B隔離できる小部屋へ、C体育館など大部屋へ、それぞれ分類搬送・誘導する、という流れ。

 例題2つを皆に考えさせた。寝たきりで車いす、認知症かつ右半身麻痺の80歳女性が、娘夫婦とともに避難所に。この要援護者に対し、どう判断するか。結論として、病院ではまず受け入れてもらえない、との判断でAに。また、自立歩行だが、酸素吸入器使用の65歳男性に対し、酸素が残り少ないので、提供できるところに、ということで@に。引き続き、18問を2グループに分け、検討させた。

 その結果、公平を期すために判断基準が必要、それを広く広報する必要、要援護者の場合、災害による負傷ではなく、一見しただけでは正常な人と変わらない場合(例:内部疾患など)があることから、よく見る、聞く(当事者だけでなく家族などに)必要、時間をおいて再判断も必要、適切な判断ができるよう研修が必要、といった意見が出されていた。

 当大学の国際・災害看護学教授の小原さんは、役所職員や防災担当など医療従事者以外が実施し、短時間で、多数をふるい分けるためには、@まず目で見える状況で判断、A名前を聞き、言えない場合、介助者に確認(身体、認知、精神)、B今、怪我や具合の悪いところがある場合、病院か保健室かを判断、C自宅で医療機器の使用の場合、福祉避難所への必要があるかを判断、D毎日飲んでいる薬があるか(持病があるか)で小部屋は妥当かを判断。また障害者手帳や介護認定など公的認定も判断材料に、としていた。