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災害・減災セミナー「防災・減災の現状と未来に向けて」
都市人口が増加するアジアは被災の巨大化の危険性
河田 恵昭氏 熱弁

Relisienceを高めることが必要、と語る河田氏   
 Relisienceを高めることが必要、と語る河田氏  
 東日本大震災の教訓から、国もより一層の被害軽減を目指す【減災】に向けた取組み強化をうたっている。さらに進め、Relisience という考えを強調する。「減災」とは、Relisienceを高めることで、「被害を減らすと同時に、復旧までの時間を短くすることにより、社会に及ぼす影響を減らすこと」、と河田恵昭氏(関西大学理事・阪神淡路大震災記念 人と防災未来センター長」は語る。

 「防災減災セミナー」が2月8日(金)日本赤十字看護大学主催で、同大学「広尾ホール」で開催された。テーマ「防災・減災の現状と未来に向けて」。

 基調講演として河田氏は、特に災害看護という面から、@国内外の災害発生傾向、A被害の規模は文化や経済環境に作用されること、B地域性、歴史性の特徴を持つこと、C大規模災害時には患者だけでなく、病院施設のトリアージも必要となること、D異分野融合型の先端知識が必須、といった理解が必要だとする。

 そして、巨大地震の発生傾向として、@途上国では未曾有の人的被害を伴う巨大災害が都市域で発生、A都市部では未曽有の経済被害を伴う巨大災害が増加、B災害発生特性として、世界的人口増加で自然災害発生件数が増加、C都市人口への集中で被災者数は激増、D被災者数は低所得国に集中を挙げた。
 都市に集中する原因として、急激な成長と不適切な都市計画、過剰な人口密度、生態系の不均衡、不適切な建築などを。人口の都市集中に伴いスラム地域の人口増加が災害増加につながっており、貧困との悪循環だ、とした。

 人口増加が続くアジアでは、都市の人口増加と災害脆弱性から、犠牲者数は減らず、巨大化の危険性がある。その理由として、@住民のリスク意識が低い、A都市の適切な行政ガバナンスがない、B有効な防災技術開発が組織的でない、Cインフラ整備、特にICT関連が未熟だとした。

 我が国の状況について、スーパー都市災害としての首都直下地震、スーパー広域災害としての南海トラフ巨大地震が、日本の脅威となっている国難といえる。首都直下地震は、人・もの・情報・資金・ロジスティックなど過度の集中という、あまりに複雑な首都機能が減災を妨げている。例えば入院患者は常時26万人、災害時要援護者は約570万人。 南海トラフの場合は、あまりにも広域で、あらゆる被災形態が混在。入院患者62万人強、要援護者1082万人にも上る。
  パネルディスカッションで
  パネルディスカッションで


 今回のセミナーは、文科省採択事業である「災害看護グローバルリーダー養成プログラム」の一環として行われた。同大学学長は冒頭挨拶で、「近年の災害が多様化、複雑化、長期化しており、国境を越え深刻な影響を及ぼしている。従来の国中心のアプローチだけでは不十分で、また予想されている巨大地震、人的災害への対策も急務となっている。このプログラムは、災害看護に関する課題に適切に対応解決できる学術的、国際的指導力を発揮する世界的リーダー養成を目指している」としていた。

 第2部として、バングラディシュ、インドネシア、タイからの災害看護についての専門の医師、看護師による国の状況説明後、パネルディスカッションが行われた。