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子どもの事故予防講座 No.3
家庭内事故を防ぐには
環境を改善することで,子どもの安全はつくり出せる

講師の八藤後猛さん   
講師の八藤後猛さん  
 川崎市子育て支援者向け「子どもの事故予防連続講座」の第3回「家庭内事故を防ぐには」が、2月14日(火)、川崎市市民・こども局主催、企画・運営 “Safety Kids いずみ”のもと、川崎区役所で開かれた。講師は日本大学理工学部建築学科准教授の八藤後猛氏。

 高齢者、障がい者に対する研究に加え、家庭内における子どもの事故に関し10年以上前から、建築面から取り組んできた研究の一端を子ども支援に携わっている受講者に質問や意見を求めながら、話をすすめた。

  40年以上前から、日本における子どもの死亡原因の第1位は「不慮の事故」。乳幼児の事故に関する既往文献で見ると、「保育従事者によって防げる事故」、「事故の6割は保護者の配慮で防げる事故」などで、ひたすら保護者の責任にしている。そして@保護者の安全への意識が高ければ事故は防げる A危険な場所に子どもを入れない、手の届かないところに置く、危険なものは片づけるといった、あくまでも保護者の責任を前提とした安全対策が採られてきた。

 「不慮の事故」はスリップ、躓きによる転倒が圧倒的で、次いで階段や建物からの転落、墜落となっている。乳幼児死亡率と比較した「不慮の事故」は一向に減らないと言われてきたが、実は近年急激に減っている。その理由として考えられるのは、@古い家の建て替え、合わせてA屋内の段差減少や建築基準法改正による戸建て住宅内階段の手すり設置などによるバリアフリー住宅の増加がある。ということは、生活環境面、建築物や周りの環境を改善することで,子どもの安全はつくり出せるということがいえる。
  「子どもにとって危険な穴の寸法」
  「子どもにとって危険な穴の寸法」


 「不慮の事故」による死者の数は38,153人。そのうち家庭内は12,873人、交通事故は7,309人。交通事故については社会全体として関心も高く、マスコミも大きく採り上げるし、その防止のため大きな予算を投じている。しかし、家庭内事故の方が大幅に多いにもかかわらず、極端な事例を除いてはマスコミも採り上げないし、残念ながら社会全体として関心も薄い。

 ハインリッヒの法則をご存知でしょうが、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。これらが起こる要因は、88%は不安全な行動、10%は不安全な環境。したがって、いわゆるヒヤリハットがあった場合には、行動面に十分注意するとともに、その原因を考え、対策をしてほしい。

 家庭内事故予防として、スリップ・躓きによる転倒予防に床材への配慮を、浴槽での水死については1歳児での多さ・浴槽の縁の高さ・子どもの重心の位置等の説明、ドアのヒンジや引き戸での指はさみ防止、手すりなどの乗り越え、色々なところの穴の大きさなど、具体的な場面での注意点を説明した。

 ある受講者は、家庭内事故の発生原因がよくわかったし、ヒヤッとしたことを見過ごしていたが、今後は追及していきたい、と語っていた。